備長炭と薪、それぞれの火の使い方
炭火料理と薪料理は、同じ「直火」でも熱の性質がまったく異なります。Cedar Meteorでは開業当初から、素材によって備長炭と薪を使い分けています。その判断基準と、実際の調理での考え方を整理してみます。
備長炭の特徴:遠赤外線と安定した熱
備長炭は、ウバメガシを高温で炭化させたものです。火力が安定していて、遠赤外線を多く放射するのが特徴です。素材の表面だけでなく、内部からじっくりと熱が入ります。魚や繊細な野菜に向いているのは、この熱の均一さのためです。
Cedar Meteorでは、松茸や白身魚、貝類には備長炭を使います。松茸は香りが飛びやすいので、強すぎる火は禁物です。備長炭の穏やかな遠赤外線で、表面に少し焦げ目をつけながら、内部の水分を保つように焼きます。
薪の特徴:炎と香りと、瞬間の高温
薪は燃焼中に炎が立ち、備長炭より高温になる瞬間があります。肉の表面を素早く焼き固めるのに向いています。また、木の種類によって煙の香りが異なり、それが料理に移ります。Cedar Meteorでは主にナラ材を使っています。
鴨胸肉や猪のロースには薪を使います。皮目を強い火で一気に焼き、脂を落としながら香ばしさを出す。その後、炭火に移して内部に火を通す、という二段階の工程を踏むこともあります。
使い分けの判断基準
判断の基準はシンプルです。繊細で香りが大切な素材には備長炭、脂があって表面の焼き色が重要な素材には薪。ただし、これは原則であって、その日の素材の状態によって変わることもあります。
火の扱いは、毎日の積み重ねで感覚が育ちます。温度計を使わず、炭の色と素材の音で判断するのが藤本のやり方です。この感覚は、言葉で教えることが難しい部分でもあります。
火の準備にかかる時間
備長炭は着火に時間がかかります。Cedar Meteorでは、営業開始の2時間前から火を起こし始めます。薪は着火が早い分、火力の調整が難しい。どちらも、準備の段階から料理は始まっています。
火の種類を選ぶことは、素材への向き合い方そのものです。Cedar Meteorでは、この判断を毎晩繰り返しています。